日程:2006年7月6日(木)~7日(金)
会場:湯の川プリンスホテル渚亭(函館湯の川温泉)
  〒042-0932 北海道函館市湯川町1丁目2番25号
  http://www.nagisatei.info/
特集:表現のためのインタフェース
併催:第11回ヒューマンインタフェース・プロフェッショナル・ワークショップ
  http://www.sighi.jp/hip11/
発表申込締切:2006年5月8日
原稿締切:2006年6月7日頃
プログラム
--7月6日(木)--
●表現と評価 [12:50-13:40]
(1)キャラクタロボット(∂ロボ)を用いたコンテンツ提示インタフェースの評価:富岡由実,小林稔(NTT)
 キャラクタ端末(∂ロボ)を用いたコンテンツの提示が視聴者に与える印象を測定した.これまでに,コンテンツの印象は画像の配色や文章の内容等,個々の要素が関連しあい複合的な意味を持って表出すると仮定し,画像の種類,トランジション,BGM,∂ロボの動作等の要素が与える印象を個別に測定してきた.これをもとに,今回はコンテンツ全体が与える印象を考察した.特に∂ロボを用いた場合の印象の変化に焦点をあて,Web上の情報を原文のまま読み上げる「平文」と2体が掛け合いをする「掛け合い」の2種類を基に「∂ロボの登場可否」「BGM」「トランジション」等の要素を重畳させ,各要素が複合したコンテンツの印象の評価を行った.
(2)視線を用いたWebデザインの評価:宮本 勝、大野健彦(NTT)
 ポータルサイトのWebページを対象に、課題遂行時のユーザの視線を計測し、Webデザインの評価実験を行った。評価実験では、Webページのレイアウトと、ページ内ブロックの境界線の色という2種類のデザイン要素を制御し、被験者間計画で比較した。本稿では、視線データを分析することで、デザイン要素やユーザのスキルによる情報閲覧行動の違いについて報告する。また、実験方法や実験する上での課題についても言及する。
●コンテンツ作成と表現 [13:55-15:10]
(3)音楽ミキシングソフトウェア"Grube"における簡潔な操作画面の工夫:櫻庭翼(公立はこだて未来大学)
 マルチメディア表現コンテンツとして製作した"Grube"を通して、絵を描くように要素を配置するインタフェースの工夫を提案する。Grubeとは、坂道などを配置して玉を転がし、動きから音楽表現を行うコンテンツである。ユーザが並べられた物から選択して配置する場合、並べられた物の全てを使いたがる傾向にあることに着目した。線を引くなどの簡単で積極性のある操作により配置することで、ユーザの創造性を伸ばすことを求めた。
(4)著作権フリー音楽クリップ生成システム「FMC3」のユーザインターフェースについて:長嶋洋一(静岡文化芸術大学)
 FMC3(Free Music Clip for Creative Common)とは、 FLASH等のコンテンツ制作において、著作権の心配なく自由に利用できるフリー音楽クリップ、およびその自動生成システムである。本稿では2006年3月にフリー公開したFMC3のユーザインターフェース開発に関連して、幅広いユーザ層の表現要請に応え、音楽的専門知識の多寡にも対応したヒューマンインターフェースの検討について報告する。
(5)Augmented Reality オーサリングのための ARToolKit for GEM:平井重行(京都産業大学)
 ビジュアルプログラミング環境 PureData および Max/MSP 上で動作する GEM(Graphics Environment for Multimedia) に対し、Augmented Reality (AR) の処理機能を追加すべく、ARToolKitをコアに持つライブラリ"ARToolKit for GEM"を開発した。これにより、GEMが持つインタラクティブCGのオーサリング機能やレンダリング機能を利用して、ARアプリケーションの制作が容易に行えるようになった。本報告ではGEMの説明と共に、開発した"ARToolKit for GEM"の機能、利用方法、応用について述べる。
●Human Interface Professional Workshop オープニング [15:20-15:25]
●招待講演 [15:30-17:00]
(6)Max and Pd: Software for real-time interactive music and arts:Miller Puckette教授(UCSD音楽学部) http://www-crca.ucsd.edu/~msp/
 The Max and Pd programs are the result of more than twenty years of research into the mechanisms of real-time interactive media. The main problems encountered were: first, how to treat the passage of time in a software environment; second, how to manage data in a suitably flexible way; third, how to carry out computations efficiently on audio and video samples; and fourth, how to design a programming environment that is flexible enough to realize art works but direct enough that artists can use it. The designs of Max and Pd continue to evolve as new media become available and as the computing environment matures.
--7月7日(金)--
●コミュニケーションと表現 [9:00-10:40]
(7)スケジュール情報に基づく忙閑度の推定:宮柱 知愛 堤 大輔 倉本 到 渋谷 雄 辻野 嘉宏(京都工芸繊維大学)
 本稿では,コミュニケーションを円滑に開始するため,アウェアネス情報のひとつで,「話しかけられたくない度合い」である「忙しさ」に着目した.「忙しさ」を決定する要因のひとつとして,抱えている仕事の時間的切迫感に注目し,その定量的表現として「忙閑度」を定義した.そして,アンケート調査に基づき,抱えているタスクとスケジュールから知ることができる空き時間を用いた,忙閑度の推定法を提案した.
(8)壁型ディスプレイとの非接触対話手法に関する研究:深澤 哲生(電気通信大学)
 本研究では、カメラから得られた画像から人物の体や手の位置を認識す る事により、壁型ディスプレイに表示された広告と非接触で対話できるシステムを構 築している。認識にはステレオカメラを用い、距離情報や背景差分を用いる事で体や 手の位置を認識している。これにより、ディスプレイと人との距離に応じて広告の提示方法を変化 させたり、手や体の動きによるジェスチャーを用いた広告の操作が可能となる。
(9)写真とコメントの共有による体験協創の支援:伊藤惇、角康之、久保田秀和、西田豊明(京都大学)
 PhotoChatは各ユーザが撮影した写真の上に文字や絵を書き込むことができ、その写真データと書き込みデータはリアルタイムにネットワーク上で共有されるシステムである。これにより時空間的に分散したユーザ間の体験共有が可能となり、発展的なコミュニケーションを促すことが期待される。そこでPhotoChatを用いて実験を行い、互いの注目対象の相違に気づき合う効果と、それが体験そのものに与える影響を検証した。
(10)情報利用環境の安心度表現の試み:飯塚重善(NTT),後藤雄亮(慶應義塾大学)
 パブリックスペースでの情報利用時の安心度を測定し,その結果を,実際のパブリックスペースの作業環境に重ね合わせることで,その作業環境の安心度合いを表現する試みを行った.さらに,筆者らのこれまでの研究によって得た知見に基づいて,それらのパブリックスペースの作業環境に対するリノベーションを施し,そのリノベーション後の作業環境に対しても,同様に安心度合いを重ね合わせることで,リノベーション効果の具現化を図った.
●学習と表現 [10:55-11:45]
(11)演奏学習支援における手本の表示方法に関する一考察:大島千佳(NICT/ATR),樋川直人(ATR),西本一志(北陸先端大),井ノ上直己(NICT/ATR)
 音楽的に豊かな演奏表現を表出できるようになるには,音高列の再現に対する負担を軽減することが必要である.本発表では負担を軽減するための演奏学習支援として,手本映像の表示方法とその影響や効果について議論する.現在主流の「常時,次の1音の手本を表示する」方法を軸に4つの方法によるシステムを構築し,被験者実験を行った.学習効果の面では1音単位の表示よりも,フレーズ単位の表示のほうが良いことが示唆された.
(12)初心者のためのコンピュータ学習環境:中谷桃子(NTT)、宮本勝(NTT)
 コンピュータの初心者ユーザを対象とした、コンピュータの利用スキルの向上のため の学習環境について議論する。本稿では特に、主婦層のユーザを対象とし、彼女らが 日頃コンピュータをどのように利用し、頻発するトラブルをどのように対処している かを調べるインタビュー調査を実施した。その結果、ユーザが抱える「不安」を初め として、学習を妨げる様々な要因が明らかになった。本稿では、それらインタビュー 内容を質的研究を用いて分類・体系化した結果について述べる。
●入力と表現(1) [13:15-14:30]
(13)非言語情報を利用した会話シーンの抽出と意味的インデキシング:角 康之、熊谷 賢、瀬戸口 久雄、西田 豊明(京都大学)
 話し手と聞き手がポスターを参照しながら会話する状況を想定し、会話シーンを適切なサイズに切り出し、意味的なインデキシングを自動的に行うための手法を提案する。提案手法は、音声認識などによる発話内容の言語的理解を利用せず、身振り手振り、ポスターの指さし、視線といった非言語情報を利用して会話シーンを抽出し、さらに、それらのシーンがどのトピックについてなされた会話なのか、また、盛り上がった会話だったのか、といった意味づけを推測する。
(14)「紙のキーボード」:デジタルペンのための新しい日本語入力方式の開発:山之口洋(作家・明治大学兼任講師・東洋大学非常勤講師)
 デジタルペン(紙にペンで書いた筆跡を記憶し、後でPCに転送して利用する装置)と紙を用いて、従来の「キーボードとかな漢字変換」による日本語入力に代わる、ないしはそれを補完する新たな日本語入力方式を提案する。ペン先の位置検知、ペンジェスチャの判別、オンライン手書き文字認識、入力済み文字や筆跡の「再利用」などの基本技術を組み合わせることで、日本語文入力という機能は同じだが、携帯性、習得とパーソナライズの容易さ、使用場面の多用さの面で従来手法と棲み分けできる入力方式が実現できる。なお本研究開発は、独立行政法人(IPA)の「未踏ソフトウェア創造事業」の2005年度下期テーマとして採択され、進行中のものである(担当PMは静岡大学・竹林洋一教授)。
(15)おはじきインタフェース: ハイスピードカメラを用いた指を弾くジェスチャの認識:佐藤俊樹(電気通信大学)
 本研究では指で物を弾いて飛ばす動作を認識し、ゲーム等に用いる手法を提案する。このシステムでは「指で弾く」という動作をハイスピードカメラと高いフレームレートの画像認識を用いて認識する事で弾かれた指の速さや腕の角度を合わせて求め、力の強弱と方向の入力に利用する。本システムを用いる事でユーザはスポーツゲーム等で用いられる指を弾く動作を直感的に行う事が出来る。
●入力と表現(2) [14:45-16:00]
(16)手書き曲線同定法FSCIにおける同定単位区間抽出アルゴリズムの改善:西川玲,佐賀聡人(室蘭工大)
 我々は既に,ファジィ理論に基づいて描画中の停止点を検出することで手書き曲線から同定単位区間を抽出し、それらの単位区間を幾何曲線として同定する図形認識法「FSCI」を提案している.しかし,この同定単位区間抽出法には,その後の認識性能に悪影響を及ぼす場合があるという問題があった.本論文では,手書き曲線を「移動・停止という二つの局面を相転移しながら描くファジィ点の軌跡」とみなす新しい同定単位区間抽出法を提案し,これがFSCIの認識性能改善に寄与することを示す.
(17)多重解像度ファジィグリッドスナッピングを用いた幾何曲線スナッピング―楕円,楕円弧への適用 ―:櫻井将樹,佐賀聡人(室蘭工大)
 我々は既に,手書き曲線をその形状と描画のあいまいさに基づいて,7種類の基本幾何曲線のいずれかとして同定する手法FSCIを提案した.また,描画のあいまいさの程度に応じて,動的にグリッド解像度を選択するMFGS法による位置スナッピングを提案し,同定基本幾何曲線のうち,線分,円,円弧の多重解像度スナッピングを実現した.本稿では,MFGS法による整形スナッピングを新たに提案し,楕円,楕円弧の多重解像度スナッピングを実現する.
(18)幾何図形と複数ストローク文字の混在入力を可能とする重ね書き文字図形入力インタフェースの試作:三階裕介,佐賀聡人(室蘭工大)
 我々は既に,手書き描画ストロークをその描画動作のあいまいさに基づいて,文字を構成する書ストロークと図形を構成する描ストロークに弁別する書描弁別法を提案した.本稿では,書描弁別法を新たに多重融合ストロークに適用することで,幾何図形と複数ストローク文字が混在する図面の入力および修正を,描画ストロークを重ね書きするだけでモードレスに行える手書き入力インタフェースを実現する.
発表募集
特集テーマ解説
機能向上と低価格化によって、我々にとってコンピュータは身近な存在となり、 自己表現の道具としてコンピュータが使われるようになってきています。 しかしながらコンピュータは、多くの人々にとって、 自己表現を実現させる前に、コンピュータを使いこなせることを要求します。 コンピュータを使うことが、創造自体を阻害している可能性もあります。 表現のためのインタフェースは、どうあるべきなのでしょうか。 今回、上記課題に対する一つのアプローチと言えるMax/MSPの開発者である Miller Puckette教授をお招きし、ご講演いただきます。 そして、特集として「表現のためのインタフェース」というタイトルで、 芸術向けインタフェースのみならず、表現手法(視覚化・聴覚化・触覚化・・) など、「表現」に関わる論文を幅広く募集いたします。 上記特集テーマ以外にも、一般のヒューマンインタフェースに関連するテーマも 募集しています。奮ってご応募ください。
申し込み方法
下記内容を記した電子メールを下記照会/申込先までお送りください.メールの題名(subject)の先頭には半角英数字で [HI119:entry] を付けてください. 受理したものに関しては返信メールをお送りします.送付した後 5 日経過しても返信が届かない場合は再度電子メールで問い合わせください.
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HI研究会(第119回)発表申し込み

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照会/申込先
シャープ株式会社 技術本部 梅本あずさ
E-mail: sighi119@sighi.jp (@は半角に置き換えてください)